ばんえいトピックス


2021/09/26  渡来心路ヤマトタイコーが初重賞! 〈第29回銀河賞(BG2)〉

9月26日(日)に行われた4歳三冠ロードの二戦目、第29回銀河賞(BG2)は、果敢に先行したヤマトタイコー(せん4、久田)が第二障害を一腰で越えると、ゴールまで脚色衰えず逃げ切り勝ち、重賞初制覇を果たしました。

渡来心路騎手はデビュー12年目で重賞初勝利、久田守調教師は銀河賞2勝目で重賞通算35勝目。

馬場水分2.2%で勝ち時計は1分53秒5。2着にコマサンダイヤ(牡4、金田)、3着にフォルテシモ(牝4、坂本)が続き、一番人気のキョウエイリュウ(牡4、村上)は7着に敗れています。

 

ヤマトタイコーは戦前にも触れたように、二走前から障害が戻ってきていて、上り調子だったのでしょう。切れ味がないぶん、やはり先に下ろすのが理想ですが、その形を作れるだけのデキにありました。勝負に出た心路の騎乗も、もちろんお見事でした。

世代の中では遅れて出世してきた馬ですが、重賞初挑戦の菊花賞で5着と頑張り、その後はダービー2着、柏林賞3着、そして今回ですから、フロックなどではなく、追いついた、ということでしょう。

柏林賞の時に久々にナマで見たのですが、こんなにいい体だったっけ? と驚きました。素晴らしい成長力、荷が張って行くのも歓迎で、まだまだ強くなると思います。

 

コマサンダイヤは、いくらか上向き気配でも重賞ではまだどうか、と見ていましたが、じっくりタメて一腰から、切れ味も見せて歩きました。おそらくそれほど自信がなく、障害重点に構えたのが結果的に良かった印象はありますが、重賞2勝の実力馬がようやく戻ってきてくれました。

この世代はレベルが高いと言い続けていますが、その一つにはこの馬の存在も大きく、復調成れば一層と厚みを増してきます。あとは自力勝負が利くようになれば完全復活でしょう。

正攻法から踏ん張ったフォルテシモは、690キロでこの内容ならかなりの収穫。11月のクインカップでは当然主力の一頭となります。

ゴールドハンター(4着)はシンガリ待機から障害二腰、さすがの伸び脚は見せましたが、ここまで。一腰なら、という思いは当然あるでしょうが、この負け方も想定したうえでの戦法なので、仕方のない結果と受け止めているのでは。年明け1月の天馬賞へ向け、この形を貫くのか、違う形も試みるのか、そのあたりも注目です。

個人的に(馬券で)期待していたブラックサファイア(6着)は、障害で三腰掛かりましたが何とかまとめ、良い切れ味は見せましたが、やはり末は緩み気味に。勝ち馬との馬複を持っていたので、一瞬ちょっと声が出た(~_~;)

カイセドクター(9着)はハンデ差もありますが、一気の50キロ増が堪えた印象です。終い苦しくなりましたが、内容的には着順ほど悪くなく、特段に悲観することはないと思います。

 

人気を集めたキョウエイリュウは……うーん、うまく表現できないのですが、どうも最近は、何だか上滑りしているというか、カチッとハマっていない競馬が多いような気がします。そう思いながらも、結局今回も馬券は買ってしまっているので、あまり偉そうには言えないのですが、デキが悪いわけじゃないんだけど、何かピリッとしない。

今回に関しては、障害でヒザを折ったのがわかりやすい敗因とはなるのでしょうが、じゃあ一腰だったら突き抜けたのかとなると、そうとも思えなくて。

まぁ村上先生と松田さんなので、きちんと整えてくるはずですし、天馬賞までは時間があるので、もう少し注視したいと思います。

 

 

さてさて。

心路、おめでと~!!

 

本場に行けてたら、表彰式でメッチャ拍手したのになあ。

 

今井茂雅厩舎でデビューして、その後に小林長吉厩舎を経て、現在は久田厩舎所属。

ヤマトタイコーは、2歳シーズンには結構乗っていましたが、昨季後半からは菊池騎手が主戦を務めていました。

それが柏林賞の時に突然スイッチして、これは重賞のチャンスを与える久田先生の親心か!? と私は勝手に思っていたのですが、ここで見事に期待に応えました。

どんな感じのインタビューになるのかなと、少し不安に(笑)見ていましたが、柔らかい、とても良い表情でしたね(^-^)

 

これで真のトップジョッキーの仲間入り。もっともっと活躍してもらわなきゃ困るからな。

 

大いに期待しているぞ、心路!


2021/09/19  藤本匠騎手、通算4500勝達成!

藤本匠騎手(59歳、岩本利春厩舎所属)は、9月19日の第7競走をアサヒユウシンで勝利し、通算4500勝を達成しました。

ばんえい競馬の通算勝利記録を更新し続ける名手が、また一つ大台に到達。1983年4月の初騎乗以来、デビュー38年目、33938戦目での快挙となりました。

なお、これまで重賞競走では、ばんえい記念の2勝を含む通算75勝を挙げています。

 

2012年9月に、金山明彦騎手(現・調教師)の通算3299勝を更新して以来、孤高の道を歩み続けるレジェンド。

当時の、「勝利数よりも、一番多く乗せてくれた関係者に感謝」(要旨)といったコメントが印象に残っています。

さすがにデビュー当時の頃は存じず、かき集めた資料からの引用とはなりますが、最初に入った本沢政一厩舎には、金山明彦騎手も所属しており、技術面はもちろん、騎手としての心構えなども、かなりのアドバイスを受けたようです。

“ミスターばんえい”の記録を、弟弟子の匠さんが更新したというのも、ちょっとしたドラマではないかと思います。

 

現在ばんえい競馬の騎手は20名いますが、匠さんがデビューした1983年には、生まれてさえいなかった騎手が半数の10名。

その中で、未だリーディング上位を悠然と張っており重賞でも大暴れ、若手の良い壁となっています。

コウシュハウンカイの主戦騎手のイメージが強い新規ファン、たまにはヤジを飛ばすサカノタイソンの頃からの古参ファン、双方からリスペクトを集める存在でしょう。

ニコ生では「マグロ握ってー」(寿司屋の大将?)とか言われてますが(~_~;)

あ、料理は得意らしいです(^^;

 

私は匠さんの、第一障害と第二障害の間で、馬の尻ではなく脚のあたりを、叩くのではなくチョンチョンと手綱で触るような仕草が大好きです(細かいね~w)。

そんな繊細な技術もあり、ガンガン先行するよりも、馬との呼吸を大事に乗るタイプ、それだけに、好位差しとか一列下げての中位差しで良さが出る馬の手綱を取らせると、やはり一味違う上手さがあると僭越ながら思っております。月曜メインのシンエイボブも見事な騎乗でした。

 

実は一度もリーディングジョッキーになったことがないのが少し不思議ではありますが、今でも年間100勝以上は当たり前です。

調教師の仕事にも興味があるような発言を聞いたことはありますが、少しでも長く匠の技を見せていただきたいものです。

ここまで来たら5000勝まで……密かに期待しています(・ω・)ノ


2021/09/19  競り合いを制したのはメジロゴーリキ! 〈第57回岩見沢記念(BG2)〉

9月19日(日)に行われた第57回岩見沢記念(BG2)は、障害一腰から長く脚を使ったメジロゴーリキ(牡7、松井)がキタノユウジロウ(牡6、村上)との競り合いを制し、昨年11月の北見記念以来となる重賞6勝目を挙げました。

西謙一騎手は岩見沢記念初勝利で重賞通算12勝目。松井浩文調教師は岩見沢記念9勝目で重賞通算69勝目。

馬場水分3.1%で勝ち時計は2分9秒4。キタノユウジロウの後の3着にアアモンドグンシン(せん6、小林長)が続き、単勝1番人気に推されたセンゴクエースは5着に敗れています。

 

雨が降り寒かった土曜と比べると、日中は10度以上気温が上がり、水分を含んだ馬場で前半流れはしましたが、荷も積んでいるだけにタフな競馬に。そこで勝敗を分けたのはやはり第二障害でした。

メジロゴーリキは他馬がモタつく中で一頭だけ一腰、下りてから一旦は前に出られましたが、障害を一腰で切っていたからこそ、末まで歩けたのでしょう。時計が2分を越えれば出番が回ってきます。昨季の北見記念や帯広記念もそうでしたが、やはり力勝負になると強い。

私は昨季のばんえい記念が終わった時点から、今季のばんえい記念の本命候補筆頭と思っていますが、荷が張って行くこれからがこの馬の季節、いよいよ本領発揮でしょう。

 

キタノユウジロウは好位付けが叶う展開に。着差が着差だけに、天板でわずかに止まったロスが結果的には痛かったものの、勝ち馬とは10キロ差があったことを思えば、同等の評価を与えられるでしょう。こちらも今後の高重量戦は望むところです。

障害下でジックリと溜めたアアモンドグンシンは今回もヒザを折りましたが、天板まで上がっていたぶん立て直しは速く二腰。下りて弾けなかったのは荷物もあるでしょうが、今季これまでの重賞とは一味違う中味、いずれ騎手は替わることとなりますが、今後へ向けては収穫十分だったと思います。

ミノルシャープ(4着)は下りを使って一旦は前に出る形を作りたかったかと思います。残り30mを過ぎたところで詰まったのは障害で三腰掛かった影響もあったでしょうか。近走内容からはひと押し利くかと見ていたのですが、今季は末が課題となっています。

センゴクエースは微妙な馬場とハンデ、特別なら軽馬場でも問題ありませんが、重賞の荷物だと、やはりもっと流れが落ち着いたほうが良いのか、障害で大きく手間取りました。それでもヒザを折りながらも立て直す気持ちは出ておりデキ落ちではなく、今回はこの馬の日ではなかったというだけで、北見記念へ向けては評価下げの必要はないでしょう。

 

ゴール前の激しい競り合い、謙ちゃんの“左パンチ”連打など、きちんとナマで見たかったというのはありますが、なかなかに見応えのある好レースでした。


2021/08/30  メムロボブサップ、グランプリホースの貫禄!〈第10回朱雀賞(準重賞)〉

8月30日(月)に行われた5歳限定戦、第10回朱雀賞(準重賞)は、好位から第二障害をトップで抜けたメムロボブサップ(牡5、坂本)が力強い末脚で後続を突き放して完勝。今季3勝目、通算22勝目を挙げました。

馬場水分2.3%で勝ち時計は1分49秒2。2着には先行から粘ったコマサンエース(牡5、金田)、3着には後方から脚を伸ばしたジェイセリナ(牝5、平田)が続いています。

 

むかしむかし、1998年の毎日王冠。

知る人にとっては伝説のレースかと思いますが、サイレンススズカが、エルコンドルパサーとグラスワンダーの挑戦を圧倒的に退けた一戦。フジテレビ青嶋アナの「グランプリホースの貫禄!」は、今でも記憶に残る名実況です。

 

とまぁ、珍しく中央ネタですが、なぜかそのレースを思い出してしまったので、ちょっと書いてみました(^^;

だって、今日のメムロボブサップに関しては、その時のサイレンススズカと同じほど、何も語ることがないんだもんw

ただただ強い。それだけです。

 

コマサンエースは前で運ぶ形を一応は作りましたが、刻むたびにメムロにプレッシャーを掛けられ前に出られ、かなり厳しい展開になりました。ハンデ差を活かすつもりが、40キロ重い相手に潰されて、これは脱帽するほかないでしょう。むしろ終いバタバタになりながらも2着を死守したのは地力強化の証し、そこは評価して良いかと思います。

ジェイセリナは前を気にせずの遅れ差しで、特段に評価が上がるものではありませんが、50キロ増でも障害をまとめたのはデキの良さ。またどこかでハマった際には穴になります。

アオノブラック(6着)は最初から勝負に行かずに障害重点でしたが、一腰でまとめて一歩前進。反撃へ向け、ひっそりと態勢を整えつつあります。


2021/08/29  4歳カイセドクター、悲願の初重賞! 〈第33回はまなす賞(BG3)〉

8月29日(日)に行われた、3歳と4歳の二世代による第33回はまなす賞(BG3)は、第二障害を二番手で下ろしたカイセドクター(牡4、坂本)が、粘る3歳馬イオン(牝3、槻舘)をゴール前で差し切り、9度目の挑戦で初となる重賞勝利を挙げました。

阿部武臣騎手は当レース4勝目で重賞通算30勝目、坂本東一調教師は当レース初勝利で重賞通算17勝目。

馬場水分1.8%で勝ち時計は1分48秒1。3着にはキョウエイリュウ(牡4、村上)が続いています。なお、トワトラナノココロは左前肢跛行のため競走除外となりました。

 

2歳時のヤングチャンピオンシップ3着から始まった重賞挑戦。ここまで2着が3回、3着が3回ありましたが、ついにカイセドクターが勝利をつかみ取りました。

位置を取って、障害下で一呼吸タメたのはさすが武臣さんといった感じですが、一腰でまとめると、追っての味が活きました。馬場が軽くなり過ぎると切れ負けするシーンは結構ありますが、安定感が示すとおり全てにおいてレベルが高い馬で、行っても差しても競馬ができますし、終いまで歩き切れるのが何より強みです。

次の銀河賞はハンデを課せられる立場となりますが、自身はこれから荷物が増えて行くのは全く問題ないと思いますので、今後も最強世代の主力の一頭として大いに期待できるでしょう。

 

3歳牝馬イオンは大健闘、というか、この馬すごいな。ちょっとモノが違う可能性はあります。

勝ち馬の後から仕掛けて、障害で前へ出て、そこから一気に突き放し、たしかに終い緩みましたが、以前はもっと簡単にパタッと止まっていたので、確実に成長もしています。

現状ではレベルの高くない世代なので、強い4歳馬相手でどうかとも思っていましたが、評価は上がる一方です。一気に昇級して、少し苦労する時期もあるかもしれませんが、どれだけ強くなるのか本当に楽しみです。

 

キョウエイリュウは、普段より道中の反応が鈍かったような?

決して悪い内容ではありませんが、下りてからもそう切れず、上位二頭ほどは力を出し切れなかった印象です。銀河賞で改めて注目。

ゴールドハンター(8着)は障害を上がれず。時として、これがあります。

最近の安定した姿からは、今回に関してはあまり心配していなかったのですが……難しいものです。次開催での修正が必須です。

 

今回出走した各馬は、この後はそれぞれの世代二冠目が目標となります。

3歳の菊花賞は11月7日、4歳の銀河賞は9月26日(すぐだね)。引き続き熱戦にご期待ください。


2021/08/15  夏の最強馬は5歳メムロボブサップ! 〈第33回ばんえいグランプリ(BG2)〉

8月15日(日)に行われた夏の大一番、第33回ばんえいグランプリ(BG2)は、先行したメムロボブサップ(牡5、坂本)が第二障害も先頭でクリアし後続を突き放すと、ゴールまで力強く歩き切り完勝。古馬重賞は今回が初、通算では9勝目となる重賞勝利を挙げました。

阿部武臣騎手、坂本東一調教師ともに、ばんえいグランプリは初制覇。阿部騎手は重賞通算29勝目、坂本調教師は重賞通算16勝目となりました。

馬場水分1.0%で勝ち時計は2分3秒3。追い込んだセンゴクエース(牡9、槻舘)が2着、しぶとく歩いたメジロゴーリキ(牡7、松井)が3着に続いています。

 

ファン投票1位の馬が単勝一番人気で勝ちました、とだけ聞くと、ごく順当な結果と思われるかもしれませんが、5歳馬がグランプリを勝ったのは、19年ぶり3頭目。

オレノココロ&コウシュハウンカイも、カネサブラックもスーパーペガサスも勝てませんでした。

帯広単独開催以降としては初となる3歳三冠、そして二季連続の三冠、さらに5歳でグランプリも制し、またまた歴史的快挙です。

 

メムロボブサップは、自分でレースを作り障害一腰、切れ味で突き放し、終いも緩まず、完璧の一言です。これは強い。

ダービーの時も、天馬賞の時も、ここぞという場面で想像を上回る姿を見せ、そのたびに評価を上方修正してきましたが、さらに数段上のレベルの内容でした。

強いことは前からわかっているんだけど、進化が止まらない。こりゃあ、ボブ・サップというより井上尚弥だわ。

今後、差し当たっての課題はやはり荷物。9月の岩見沢記念へ向かえば850キロを課せられることになりますが、どのような姿を見せてくれるのでしょうか。

 

センゴクエースは、結果論的に言えば障害で二腰かかったのが敗因となるのでしょうが、想定or許容の範囲内だったはず。本来なら差し切れてても不思議ない内容でしたが、今回はとにかく勝ち馬が良過ぎました。デキさえ維持なら、高重量戦で歩ける強みと地力をまた示してくれるでしょう。また馬体が減っていましたが、これだけ動けていれば気にする必要はないのかも。

メジロゴーリキはブリンカー装着。以前に着けたのは軽量戦の時だったと記憶していますが、その効果はともかく、好位から一腰、終いも最後まで伸びる好内容。もっと荷物が増えてくれば、さらに本領発揮でしょう。

ミノルシャープ(4着)は今回も終い詰まりましたが、重賞に限って言えば今季一番の内容で、今後またチャンスはありそうです。

アアモンドグンシン(8着)は、やはり障害でストップ。まあ仕方ないかなと思いますが、問題はこの後。次の重賞までは間に二開催ありますので、そこでどういった競馬となるかが非常に大事になります。


2021/08/08  これがダービー馬、これがキョウエイリュウ 〈山鳩賞〉

8月8日(日)に行われた4歳限定の山鳩賞は、道中2番手から進めたキョウエイリュウ(牡4、村上)がトワトラナノココロとの競り合いを制し、今季の初勝利、通算16勝目を挙げました。

小雨が降る中で馬場水分1.5%、勝ち時計は1分30秒2。3着には柏林賞馬ゴールドハンターが続いています。

 

7Rの前から雨が降り出し、一気に軽くなった馬場。

その有利不利はあったと思いますが、重賞4勝のキョウエイリュウが何よりも地力をまざまざと見せつけました。個人的な馬券の話になりますが、最後まで取捨に迷ったのがこの馬で、強いのはわかっているけど、ハンデもあるし、次へ向けてメイチじゃないし、でも前走の内容が良かったし……と悩みに悩んで、まぁ買ったは買ったのですが、そもそも悩んでゴメンナサイというような強い競馬でした。

2着馬とは20キロ差あったことを考えれば、ハイレベル世代の中でも、やはりこの馬がヘッドライナー。次は昨季取消となったはまなす賞へ向かうことになるでしょうが、ハンデ頭でも当然有力です。

 

トワトラナノココロは思った以上にキョウエイリュウが攻めてきた面はありましたが、自分の形は作れました。自身に有利なハンデと馬場で負けては、勝ち馬に脱帽せざるを得ませんが、それでも確かな成長を改めて感じられる内容ではありました。

ゴールドハンターは前半は折り合いに専念、障害スムーズに一腰、伸び脚上々。そこから差せる馬場ではありませんでしたが、一息入った後の叩き台としては満点でしょう。こういったシチュエーションの経験は少ない金田利貴が上手く乗りました。はまなす賞連覇へ向け期待が高まります。

カイセドクター(4着)にとっては雨が余計で、時計が速くなり過ぎました。障害一腰から終いも歩く上々の内容で好調キープ、荷物が増えて乾いた馬場なら主力級の扱いが必要となります。

ブラックサファイア(5着)は今回も障害で手間取りましたが、それでも三腰でまとめたあたり、デキが悪いわけではありません。馬券的な扱いは難しい馬ですが、いつでも一発の可能性を秘める状態にあります。


2021/08/01  溢れる才気、イオンが牡馬を圧倒! 〈第45回ばんえい大賞典(BG3)〉

8月1日(日)に行われた3歳三冠ロードの初戦、第45回ばんえい大賞典(BG3)は、イオン(牝3、槻舘)が第二障害を越えてから持ち前の瞬発力を発揮、一気に後続を突き放すと、そのまま脚色衰えず完勝。2月の黒ユリ賞に続く重賞2勝目を挙げました。

鈴木恵介騎手は大賞典初勝利で重賞通算83勝目。槻舘重人調教師は大賞典3勝目で重賞通算67勝目となりました。

朝から雨が降る中で馬場水分3.6%、勝ち時計は1分39秒7。イレネー記念馬オーシャンウイナーが2着、イワキダイヤが3着に続いています。

 

雨予報で少し軽くなるとは思っていましたが、予想以上の量で降り続け、平場では20秒台も頻出の高速馬場となりました。

イオンにとってプラスに作用したのは間違いありませんが、それにしても完璧な内容でした。テンから走り、それでいて折り合いピタリ、障害を楽々クリアすると極上の切れ味を披露し、終いもしっかり歩きました。強いの一言です。

まだ粗削りで、危なっかしさを感じるレースも時にはありますが、馬体も素晴らしくて相当に奥がありそうです。三冠云々よりも、とにかく順調に成長していってほしいと思います。

 

オーシャンウイナーは馬場が軽くなり、古馬相手だった前走とは違い勝ちに行く立場、前を意識しながら、それでもタメを利かせて、菊ちゃんは非常に上手く乗ったと思いますが、勝ち馬にこれだけの競馬をされては致し方ありません。前日の乾いた馬場なら、という思いもあるでしょうが、2着確保でイレネー記念馬の実力は示しました。

イワキダイヤは下りてから一旦2番手に上がる場面もあり、末に甘くなりましたが内容十分。他馬より少し成長が遅れていただけで、素質馬が本格化しつつあります。今後は世代上位の扱いも必要となってくるでしょう。

アルジャンノオー(4着)は、イレネー記念以来のブリンカー装着、道中も気合をつけて重賞仕様の競馬。伸び負けしましたが、やはり世代戦では上位級です。能力検査で一番時計を記録した馬ですが、単なる早熟馬とは思えません。

ネオキングダム(6着)は障害で手間取った時点でアウトでしたが、この馬場ではいずれにせよ厳しかったでしょう。先の話ですが、冬馬場のダービーが条件的には合いそうなイメージで、そこで勝負できるだけの地力をこれから蓄えていくことになります。


2021/07/18  センゴクエースが力強く復活! 〈第52回旭川記念(BG2)〉

7月18日(日)に行われた第52回旭川記念(BG2)は、第二障害を一腰でまとめたセンゴクエース(牡9、槻舘)が下りてから持ち前の伸び脚を発揮、先行したメムロボブサップ(牡5、坂本)を残り10mでとらえて差し切り勝ち。2019年7月の北斗賞以来、約2年ぶりとなる重賞14勝目を挙げました。

鈴木恵介騎手は旭川記念4勝目で重賞通算82勝目。槻舘重人調教師は旭川記念5勝目で重賞通算66勝目。

馬場水分0.5%で勝ち時計は2分9秒0。3着にはアアモンドグンシン(せん6、小林長)が続いています。

 

センゴクエースは、ちょこちょこ刻むリズムが合うのか、障害でヒザを折りそうになりながらも我慢させて一腰、二番手で下ろせばもう勝負あり。近年は作りたくても作れなかったこの形、恵介がガッチリ主戦に戻ったのも大きいとは思いますが、デキ自体が昨季とは違う印象です。以前より減っている体重も、夏を無難に乗り越えれば自然と増えてくるでしょう。

メムロボブサップは正攻法から障害一腰、最後まで我慢して3着以下は離しましたし、勝ち馬より10キロ積んでいたことを思えば、評価はさらに上がります。勝ち時計が2分を超える競馬は経験自体が少なかったのですが、ここまでの内容を示せば、同じ800キロで(オープン馬は)ノーハンデとなるグランプリへ期待が高まります。

アアモンドグンシンは北斗賞より息を入れられましたが、今回も障害で苦戦。たしかに大きな課題で、止まってからの返事も速くありませんでしたが、それでも越えられたのは前進と見て良いでしょう。もちろん一腰が理想ですが、荷が張ってくる中では止まってからの対処も重要となります。昨季の半分ほどを休んでいた本馬にとっては、今が貴重な経験をしている時期です。ばんえいの6歳は若い。

メジロゴーリキ(4着)は障害下での反応が悪かったようにも見えましたが、一腰でまとめ終いもバテず。この馬なりの動きはできていますが、もっともっと高重量戦向き、秋以降にさらに存在感を増してくるでしょう。

重賞連勝を狙ったキタノユウジロウは5着。テンに遅いのは仕方なく、道中で追い上げる形、障害も一腰半でまとめましたが、ジリっぽくて差す脚はないだけにここまで。上位二頭が北斗賞以上に走ったという面もあります。

障害で大きく崩れたアオノブラック(8着)は立て直しが必要。この時期ですので、焦らずジックリと作り直していくこととなりそうです。


2021/07/04  4歳一冠目はゴールドハンター! 〈第15回柏林賞(BG3)〉

7月4日(日)に行われた、4歳三冠初戦の第15回柏林賞(BG3)は、中団待機から第二障害を一腰で切ったゴールドハンター(牡4、金田)が坂の下りで先頭に立つと、後続の追撃をゴールまで抑え切って勝利。昨年8月のはまなす賞に続く重賞2勝目を挙げました。

昨年12月デビューの金田利貴騎手は重賞初制覇。金田勇調教師は当レース初勝利で重賞通算27勝目。

馬場水分0.8%で勝ち時計は1分57秒4。2着にカイセドクター、3着にヤマトタイコーと続き、単勝1番人気に推されたトワトラナノココロは7着、2番人気のキョウエイリュウは6着とそれぞれ敗れています。

 

内枠各馬が先行しましたが、軒並み第二障害で少し手間取りました。人気二頭が先頭と番手にいれば、勝ち負けを意識する組は自然と前掛かりになるので、前半約54秒という数字以上に厳しい流れだったかもしれません。その結果、一歩後ろから仕掛けたゴールドハンターにとってはお誂え向きの展開となりました。

それにしても、一番スムーズに障害を切り、下りてからすぐ先頭の形になるとは、この馬に期待して馬券を買っていた方さえ想像していなかったのではないでしょうか。さすがに前走ほど弾けず、金田利貴騎手にとっては残り20mからが本当に長く感じたと思いますが、よく我慢しました。金田騎手は(厩務員として)馴致の頃から携わってきたとのことで、喜びもひとしおでしょう。

 

カイセドクターはこれで三度目の重賞2着。障害一腰とはいきませんでしたが、この馬の良いところは、すぐにきちんと二腰目を入れ直せること。もちろん一腰がベストではありますが、止まってしまった後の反応も、これから荷物が増えて行く中では重要な要素となるでしょう。やはり少し時計の掛かる競馬のほうが良さが出ます。

着差以上に惜しかったヤマトタイコー。前哨戦の二戦で影を踏めなかったトワトラナについて行き、登坂力でこれを上回りましたが、惜しむらくは、天板でヒザを突きかけて一旦止まらざるを得なかったことでしょうか。少し先に下りていれば、もっと抵抗できたのではと思いますが、それでもダービー2着に続き、ここも3着。馬体も目立ち、もう世代トップ5入りを果たしたと見て良いでしょう。

キョウエイリュウは、障害で二腰かかったのはともかく、天板から下りに入る所でモタついたのは少し誤算だったでしょうか。下りを利用して切れ味を見せる馬ですが、下りてからすぐ突き放されてしまいました。思ったほどスムーズな競馬ができなかったのは、前述の厳しい流れになってしまったこともありますが、今季一度でも松田騎手が手綱を取っていればあるいは……。

今季ここまでの三戦で代役を務めた村上騎手は、ほぼ完璧な形でバトンを渡しましたが、勝ち負けよりも大事に乗る意識が強かった中でのもの。余裕残しの競馬から、いきなり厳しい流れへの対応は難しかったもしれません。いやこれはまぁ、完全に結果論のこじ付けではありますが。

トワトラナノココロは、やはり特別と重賞の違い、窮屈な展開となり、昨季後半休んでいただけに荷物の経験の差もありました。現状ではスピードで押せる競馬が合っていると思いますが、今から遅れて経験を積んで行く時期となります。次走以降、期待を持って改めて注目です。

 

とにかくレベルが高いだけに、わずかな綻びが着順と着差に大きく反映される世代です。

今回の結果だけでは、大関キョウエイリュウは変わらず。ただし、それを追う関脇・小結も大きく力をつけてきており、この構図が年明け1月の天馬賞の後にはどのように変わっているのか興趣が尽きません。最強世代の争いに、今後ともご注目ください。


2021/06/20  キタノユウジロウが古馬重賞初制覇! 〈第29回北斗賞(BG3)〉

6月20日(日)に行われた第29回北斗賞(BG3)は、好位から第二障害を先頭でクリアしたキタノユウジロウ(牡6、村上)がゴールまでしぶとく歩き切って勝利。2019年9月の銀河賞以来となる重賞3勝目を挙げました。

松田道明騎手は北斗賞4勝目で重賞通算56勝目。村上慎一調教師も同じく北斗賞は4勝目で重賞通算25勝目。

馬場水分2.8%で勝ち時計は1分53秒1。2着にマツカゼウンカイ(牡7、松井)が続き、1番人気のメムロボブサップ(牡5、坂本)は3着。

 

馬場的に、もっとライトな競馬になるかと思っていましたが、やはり荷物なのでしょう、結構な力勝負になりました。

障害で手間取る馬も多い中、キタノユウジロウはヒザを折りそうになったところを上手く我慢させてトップ抜け。このあたりは、さすが松田さんとシビれました(インタビューは爆笑しましたw)。

雨はマイナスかと見ていましたが、荷を積んでの追い比べになればしぶとさが活きます。若馬の頃から、古馬になればさらに良さが出てくると評価されていましたが、昨季前半に強敵相手に揉まれた経験も身になったのでしょう。馬場も荷物も、もっと重いほうが良いくらいなので、今後は楽しみしかありません。

マツカゼウンカイはじっくりタメて前走同様に障害一腰、下りてからグイグイ。馬場と展開が向いたのはたしかですが、完全に好調期に入った様子です。

終い苦しくなったメムロボブサップは、凄すぎるので勘違いしてしまいがちですが、10キロ積んだ5歳がこの内容なら普通は称賛に値するくらい。障害で三腰かかってしまったことと、あとはハンデも多少影響したでしょうが、経験を積んでまだまだ強くなるでしょう。

メジロゴーリキ(4着)は終いがかかる競馬になるとやはり上位に来ます。もちろん馬場は乾いたほうが良く、重賞では常に注意は必要でしょう。今のところ、今季のばんえい記念本命候補です。

ミノルシャープ(7着)は障害も切れ味も戻っていますが、陣営は少し息の入る流れのほうが良いと見ているようで、今後はそのあたりに注目です。

アアモンドグンシンは第二障害で競走中止。先に付けて下でタメる形は悪くなかったと思いますが、障害でヒザを折って座ってしまいました。すぐに止まって返事をしなかった開幕当初に比べれば、ヒザを折るほど反応が良くなっているとの見方はでき、修正できればまたチャンスもあるでしょう。

アオノブラック(5着)に関しては、さすがに20キロ差があっては勝負に出られなかった印象。

6月の重賞でハンデ20キロというのは、少なくとも帯広単独開催以降では初のことで、レースの賞金額と別定条件の基準額が変わったことによって起きた現象ですが、特別と重賞を各1勝では昨季までだとハンデ10キロでした。それが20キロになってしまうのは少し変で(編成委員も「あれっ!?」って慌てたんじゃないかな(^^;)、来季は改善されると思いますが、今回はちょっとかわいそうでした。7月の旭川記念はハンデ10キロ、8月のグランプリは(ほぼ)定量になりますので、そこでの巻き返しに期待です。


2021/06/14  イレネー記念馬オーシャンウイナーが制す 〈第15回とかちダービー〉

6月14日(月)に行われた3歳限定の特別戦、第15回とかちダービーは、中団から切れ味を見せたオーシャンウイナー(牡3、中島)が抜け出し快勝。今季の初勝利、通算7勝目を挙げました。

馬場水分0.7%で勝ち時計は1分59秒1。先に抜けたアルジャンノオー(牡3、松井)が粘っての2着、下りてからよく伸びたミソギホマレ(牝3、坂本)が3着に続いています。

 

先に仕掛けたネオキングダムとアルジャンノオーを登坂力と切れ味で交わし去るという、イレネー記念と同じような形で改めて力を示したオーシャンウイナー。

久々の二走前は動けませんでしたが、前走で上向いて、そして今回がこの内容ですから、陣営の思惑通りの良化を示しています。ばんえい大賞典では690キロのハンデ頭となりますが、自身増量は苦にせず、あとは下との重量差がどう影響するかです。

アルジャンノオーは前付けでも障害をまとめ、オーシャンに交わされた後も我慢して2着死守。こちらも使いつつデキは上がってきて、大賞典でも候補の一頭となるでしょう。

ミソギホマレは、3着だったイレネー記念同様に、追い比べになると良さが出ます。牡馬混合では同厩馬との兼ね合いで武臣さんが手綱を取れないケースも多いですが、少し(だいぶ)気の早い話をすれば、12月のオークスの有力候補。

イオン(4着)は障害一腰から末も止まらずスムーズな競馬ができ、かなり良くなってきました。大賞典までに一度もしくは二度使ってくるでしょうが、そこの内容にも注目です。

とかち皐月賞の上位二頭、カイセキングオー(7着)とシュトラール(6着)は、自身が大きく乱れたわけではありませんが、当時とは違う荷物と馬場で、実績馬の地力を見せられた格好です。

次走注目はイワキダイヤ(9着)。ゴール前で詰まったために着順と着差は大きくなりましたが、残り10mまでは二番手争いの一角にいました。自己条件の平場に戻れば好勝負でしょう。


2021/06/07  トワトラナノココロ、初タイトルへ前進 〈ライラック賞〉

6月7日(月)に行われた、4歳限定のライラック賞は、トワトラナノココロ(牡4、鈴木)が第二障害トップ付けからトップ抜けを果たすと、そのまま歩き切って快勝。三走前のすずらん賞に続く世代限定特別連勝で、7月4日柏林賞への視界が大きく広がりました。

馬場水分1.5%で勝ち時計は1分35秒5。ダービー馬キョウエイリュウ(牡4、村上)が2着に続き、そのあと3着にはゴールドハンター(牡4、金田)が追い上げています。

 

すずらん賞の時ほど楽ではありませんでしたが、まさに充実一途、スピードを活かしたトワトラナノココロ。柏林賞ではさらに40キロ増えることになりますが、それすら克服してしまいそうなデキの良さと成長ぶり。ちょっと頼りなさもあった昨季までとは別馬の印象です。

キョウエイリュウは除外後でハンデ頭、楽ではない条件でしたが、前哨戦としてはほぼ完璧な内容と言って良いでしょう。柏林賞でもハンデを課せられる立場ではありますが、やはりこの馬が最有力候補なのではないかと思わせてくれました。

ゴールドハンターはタメた今回は障害をまとめ、下りてからさすがに伸びましたが、自力で頭を狙う競馬ではないのも確か。現状ではこの形のほうが好走確率は高くなりそうで、割り切って貫くか、一か八かで勝負に出るかは難しいところでしょう。

私が馬券的に期待していたヤマトタイコー(4着)とカイセドクター(5着)は、1分30秒台までなるとやはり少し足りないのか。それだけ今回は勝ち馬が走ったということですが、荷物が増える重賞でもこの関係は変わらないのか、逆転があるのか。このあたりは馬場も影響してきそうですが、まだ時間も残っているので、もう少し考えます。

 

事あるごとにレベルが高いと言い続けている4歳世代ですが、トワトラナノココロが一枚加わったことで、さらに層の厚さを増した感。この後に控える世代三冠戦は、相当に濃い内容が期待できそうです。めっちゃ楽しみ💕


2021/06/06  ウンカイタイショウが逃げ切り4連勝 〈第9回スタリオンカップ〉

6月6日(日)に行われた第9回スプリングカップは、道中で先手を取ったウンカイタイショウ(牡7、久田)が逃げ切り勝ち。これで今季4戦4勝、通算では35勝目を挙げました。

馬場水分1.7%で勝ち時計は1分36秒4。0秒2差でメムロボブサップ(牡5、坂本)が2着、今季初戦となったセンゴクエース(牡9、槻舘)が3着に続いています。

 

渡来心路騎手が大ブレイクを果たした2018年、ファンと関係者の目を引いたのは、第一障害から第二障害までの間で刻みを少なくする、積極果敢な先行策でした。

他馬が三度刻むところを自身は二度だけ。他馬が二度なら一度。そうやって前へ行き、障害を上げて粘り込む。

前へ行くだけなら簡単ですが、そのぶん道中での馬の負担は大きくなるので、それで障害を上げられるか、ゴールまで止まらずに歩かせられるかは、やはり技術が必要なのではないかと、素人ながらに思います。

当時から主戦を務めている自厩舎のウンカイタイショウは、行っても上がれて、末もキレはなくてもワンペースで我慢して歩ける馬。

思い通りに行かなかったレースも多々あったでしょうが、この馬から得た経験は、心路にとって大きかったはずです。

 

ウンカイタイショウは今回も道中で一度も刻みませんでしたが、今季三戦よりはいくらか重い馬場の中で、前半約45秒は結構なペース。それで押し切ってしまうのですから、デキの良さと地力強化が目立ちます。これで今季は重賞戦線参入となりそうですが、荷物が増えればそう甘くない、ただ後続とて手を拱いて見ているわけにもいかない、面白い存在となってきました。

メムロボブサップとしては、さすがにこれ以上は詰めて行けず…というか、むしろ難しい流れの中でよく我慢して、良い競馬をしたなという印象。今季は末脚の強化が目立ちますし、うっかり忘れてしまいそうになりますが、5歳はまだこれから成長する時期です。

久々センゴクエースは障害一腰、過去二年のこの時期とは違う動きで、好発進でしょう。

キタノユウジロウ(5着)とメジロゴーリキ(7着)は、前は無視で騒がず乱れず、重賞へのステップとしては不満なし。特に前者は馬体の良さが目立ちました。

シンエイボブ(4着)は障害も尻尾の動きも上々で、今後また期待できそうです。

こっそりと(?)障害を一腰で切っていたゴールデンフウジン(6着)も、引き続き藤野さんなら相手が軽くなったところでの一発があるかもしれません。


2021/06/04  ホクショウマサルが死亡

 

もう皆さんご存知でしょうが。

 

ホクショウマサル(牡10、坂本)が、6月2日に死亡しました。

 

この前の日曜、「ばんスタ」内で解説の定政さんより、夏から秋頃の復帰を目指して運動を始めている、という話もありましたが、突然の訃報。

いつの時も、競走馬あるいは引退馬の死は、われわれ一ファンには、突然知らされるものです。

 

冷たく聞こえてしまったら申し訳ないのですが、他人が飼っている動物が死んだところで、悲しくは思いません。

中央競馬を含めて、長年競馬を見ていますので、馬の死に対して悲しみの感情を抱くのは、産業の成り立ち上、少し違うのではないかとも思っております。

 

 

訃報を知った昨日の夜、ブログを書こうと思い、過去のレースを見ていたら、ギャンギャン泣いてしまいました。

酒が止まらず、気づいたら、パソコンを開いたまま床で寝ていました。

 

改めてレースを見返していると、記憶が甦ってくるんですよね。

2年4ヵ月も休んでいていきなり勝ったこと、連勝中も障害で止まってヒヤッとしたこと、同期のハクタイホウの意地を捻じ伏せたこと。

まだまだ、いっぱいあります。

中央にしか興味のない仕事のお客様に話を向けると「あぁ、あの連勝してる馬でしょ、知ってるよ」と答えが返ってきたこと、当時付き合っていた女性に「次はいつ出るの?」と言われたこと、会社の後輩に「報ステ見ました?」と聞かれてなぜか誇らしかったこととか。

 

NHK(北海道ローカル)でも死亡のニュースが伝えられていたようですね。

北海道新聞の一面のトピックでも取り上げられていました。

 

一頭のばん馬が死んだことが、ニュースになるなんて。

信じられない。

 

マサルだから。

マサルにしか、できなかったこと。 

 

北海道には、ばんえい競馬がある。ばんえい競馬には、ホクショウマサルがいる。

それを世に知らしめたのが、最大の功績でしょう。

重圧の中で結果を出してきた坂本東一厩舎の皆様にも、感謝感謝感謝……。

そんなことを思っていたら、涙が止まらなくなりました。

 

 

マサルーー!!!

 

ありがとなっ!!!

 

R.I.P.


2021/05/30  2番手から抜け出したアアモンドグンシン 〈第44回大雪賞〉

5月30日(日)に行われた第44回大雪賞(オープン・A1混合)は、障害を2番手で下ろしたアアモンドグンシン(セン6、小林長)が残り30mで先頭に立つと、ゴールまで軽快に歩いて快勝。今季の初勝利、通算29勝目を挙げました。

馬場水分3.1%で勝ち時計1分28秒3の速い決着。下りてからよく伸びたマツカゼウンカイ(牡7、松井)が2着、ミノルシャープ(牡7、大友)が3着に続き、1番人気のアオノブラック(牡5、金田)は7着に敗れています。

 

アアモンドグンシンは格下のインビクタが引っ張る流れについて行く形でしたが、無理した感じは全くなく、少し我慢させるくらいの余裕があったようにも見えました。障害も驚くほど綺麗に切り、番手で下りてしまえば勝負あり、強い内容でした。昨季はこのレースを勝って次の北斗賞が2着。今季も有力候補の一頭となるでしょう。

マツカゼウンカイは前走で良化を示し、ガラッと変わってきました。軽馬場も合いますが、下りてから長く脚を使える馬です。

ミノルシャープはもともと軽馬場好みですが、ここまで速くなったのは久々で、流れに乗り損なった印象はありました。それでも、ここも障害一腰、終いやや鈍りながらも我慢していましたし、もう大丈夫でしょう。

アオノブラックは道中の行きっぷりが存外悪く、そこで勝負よりも崩さないこと重視に切り替えたように思います。馬券的な扱いの難しさは出てきますが、障害さえ乱れていなければ、次走以降に問題ありません。


2021/05/17  先行策から抜け出したカイセキングオー 〈とかち皐月賞〉

5月17日(月)に行われた3歳限定のとかち皐月賞は、先行した2頭の決着。先に障害を抜けたシュトラールを下りてからすぐに交わしたカイセキングオー(牡3、坂本)が、そのまま歩き切り勝利。通算4勝目、昨年11月の北見産駒特別に続く特別戦2勝目を挙げました。

馬場水分2.5%で勝ち時計は1分40秒3。シュトラール(牡3、松井)が粘り込んでの2着、離れた3着にネオキングダム(牡3、坂本)と続き、今季初戦のイレネー記念馬オーシャンウイナー(牡3、中島)は7着に終わっています。

 

カイセキングオーは天板でわずかにモタつきましたが、軽馬場で詰めて行ったぶんもあるでしょうし、前後の差からは問題のない程度。切れ味を見せ、馬場が軽いだけに終いも緩まず歩きました。重量関係や馬場にも恵まれ、使ってきちんと動けていたデキの良さが活きました。

シュトラールは一気に前に出られてしまいましたが、ゴール前では盛り返していましたし、ここが今季2戦目。4戦目だった勝ち馬以上に、今後の上積みは見込めるでしょう。

ネオキングダムは一腰で上げ、さすがの障害巧者ぶり。焦らずボチボチ上向かせていこう、という印象があり、現時点としてはまずまずでしょう。

タカナミ(8着)は障害重点だった前走と違い、位置を取りに行きましたが、坂の上りで止まり、バイキしたら外に大きくヨレるなどバラバラ。慎重に修正していく必要がありそうです。

オーシャンウイナーは最初から気のない競馬。障害はもう少しスムーズに越えたかったところでしょうが、まぁ単なる使い出しに過ぎず、重要になるのはこの後です。なぜか一番人気でしたが、中央じゃないのよ(^^;

 

残り30mで大勢が決したような、やや淡泊な競馬になりましたが、各馬のデキの差が大きかったのも一因かと思います。

これから良化を示してくる馬も多いでしょうが、それでもやはり、この世代はレベルがそう高くない印象……んー、そろそろハッキリ「低い」と言い切ってもいいかな。

8月1日のばんえい大賞典も、地力より調子で決まりそうな、ちょっと掴みどころのない3歳戦線です。


2021/05/09  久田守調教師、通算2000勝達成!

久田守調教師(68歳)は、5月9日の第9競走をムサシブラザーで勝利し、通算2000勝を達成しました。

通算2000勝は、服部義幸調教師に次ぐ、史上2人目の快挙となります。

1997年4月の開業以来、約24年1ヶ月、14746戦目での達成は、服部調教師を上回る最速記録。重賞ではこれまで33勝(達成時点)を挙げています。

 

騎手としても通算2103勝を挙げ、リーディング四度。調教師としても四度リーディングを獲得している、名騎手にして名調教師。

騎手時代のことは残念ながら存じませんが、金山明彦と並ぶ花形騎手で、若手の目標であり壁だった、と後輩騎手が話すのを目にしたことはあります。

ダブル2000勝は殿堂入り級の偉業で、ただただ拍手です。

 

通算勝率が示すとおりの抜群の安定感。私も好きな厩舎の一つで、馬券を買う頻度は一番高いのではと思えるほど、お世話になっております。

藤本匠と鈴木恵介を起用時が勝負パターンの一つではありますが、所属の若手騎手二人(渡来心路・赤塚健仁)の成長も著しく、何だかんだでベタ買いしているかも(^^;

成績のわりには重賞勝利からやや遠ざかっている印象もあったのですが……直後に重賞勝ちましたね(^-^)

今後のさらなる活躍を期待しております。


2021/04/18  令和3年度第1回能力検査

4月18日(日)、今年度の第1回能力検査が行われました。

申込頭数は、2歳馬177頭、3歳馬2頭。21の競走に分かれて競走馬デビューを目指しての奮闘を見せました。

雨が降る中で、馬場水分は2.8%~3.5%。出走取消4頭を除く175頭中、合格したのは112頭。

合格馬は全て2歳馬で、一番時計は第9競走のグリフィス(牡、父レットダイヤ×母・桜誉姫(母父ツルマキシンザン)、松井浩文厩舎)が記録した1分52秒5でした。

 

本場に行き、最初から最後まで見ていましたが、最後のほうに少し上がったくらいでずっと雨。そして寒かった。

悪条件の中で、厩舎関係者の皆様、お疲れ様でした。風邪など引かないようにお気を付けください。

私の記憶では、昨年度の本開催で馬場水分3%を超えたのは一度だけだったはずで(その時は雪の影響)、珍しいほど長い時間まとまった雨が降り続けたということです。

ただ、若馬にとっては馬場が軽くなったのはありがたく、合格率64%と、昨年の46%、一昨年の40%を上回ったのは、雨の影響も大きかったでしょう。

とはいえ、やはり力のない馬は大きく苦しみ、今回動いた馬は素直に評価していいかと思います。

 

一番時計のグリフィスにまず注目となるでしょうが、昨年のアルジャンノオー、あるいは一昨年のキョウエイリュウのように、一頭抜けている印象ではなく、その他にもなかなかの好素材が揃っていると感じました。

一応20頭以上にチェックを入れましたが、その中から私なりの注目馬を挙げておきます。

 

第4競走 キョウエイハンター 2.00.0(牡、カネサテンリュウ×夕宝ヒメ(宝富士)、村上)

第7競走 ピュアリーソラ 1.59.2(牝、カネサブラック×ピュアリーモモ(アサヒセンショウ)、今井)

第11競走 カナタクィーン 2.04.2(牝、インフィニティー×ソーラクイン(コマローレンス)、小林長)

第13競走 ジェイホースワン 2.02.5(牡、キタノオーロラ×サンノハルミ(ダイヤキンショウ)、坂本)

第15競走 オロロンマツ 1.59.9(牡、キタノドリーマー×ニチリン(ウンカイ)、服部)

第16競走 ギンノカミカゼ 1.54.6(牡、フクノカミカゼ×級焔(優熔)、金田)

第16競走 ホクセイサクランボ 1.55.3(牝、ミタコトナイ×ワタシハサクランボ(ウンカイ)、今井)

 

エリートコースを歩む馬がいる一方で、時に驚くような成長を見せるのもばん馬の魅力。

5月から始まる2歳戦、ご期待ください。